

民間金融機関の住宅ローン金利は、これまでネットバンク系の有利さが目立ってきた。実店舗を持たず、手続きも郵送によって簡易化するなど運営経費を切り詰めることで低金利を実現してきたからだ。都市銀行に比べて店舗数が少ない信託銀行も、低金利化を推し進めてきた。
しかし、昨年秋頃から大手都市銀行が、金利引き下げ競争に本格的に参入してきたのである。先鞭をつけたのは三菱東京UFJ銀行だ。変動型は、基準金利の2.475%から1.6%引き下げて0.875%に。そして、固定金利期間選択型は最大2.2%も引き下げ、5年固定型が1.10%、10年固定型でも1.45%という史上最低水準に達した。
ネットバンク系も、変動型は大手都市銀行と同水準か、少し低い水準で対抗している。しかし、固定金利期間選択型については劣勢の感は否めない。優遇前の基準金利については、今もネットバンク系のほうが低い。しかし、基準金利からの引き下げ幅で差が出ているのである。
三菱東京UFJ銀行はマイナス2.2%、みずほ銀行や三井住友銀行はマイナス1.9%と、基準金利の半分以下に圧縮する引き下げである。これに対して、住信SBIネット銀行はマイナス1.5%、ソニー銀行はマイナス0.9%である。体力勝負ではメガバンクにかなわないということのようだ。市場金利の動向とは別の論理で動いているのが、現在の住宅ローン金利といえる。

民間金融機関が金利引き下げ競争を激化させた要因の一つは、フラット35Sの金利を政策的に引き下げていることだ。昨年9月に、金利引き下げ幅拡大が一旦打ち切られたものの、被災地支援の内容を盛り込んで12月には復活した。そのためフラット35の住宅ローン全体に占めるシェアは急激に拡大している。
現状のフラット35の金利水準は、過去最低に並んだ。もっとも低かったのは2010年9月で、返済期間21年以上が2.06%、20年以下は1.87%を付けた。その後、上昇と下降を経て、2012年1月時点では、同じく2.14%と1.86%となっている。返済期間20年以下は過去最低である。
ここからさらに政策的な金利引き下げが行われている。フラット35Sエコと同ベーシックである(制度の内容については「第55回 フラット35Sの金利引き下げ幅拡大&住宅エコポイント復活!?」を参照)。
たとえば、モーゲージバンク系で一番低い金利を扱っているところでは、フラット35Sエコの被災地向けの1%引き下げのタイプが0.88%(返済期間20年以下)だ。被災地以外でも1.18%である。全期間固定型にもかかわらず、民間金融機関の変動型と変わらない。これでは、民間金融機関が危機感を感じないわけにはいかないだろう。
フラット35を中心にしながら自社のプロパーローンも合わせて扱っているところでは、ユニークな試みも出ている。たとえば、SBI住宅ローンが扱っている「SBIフラット【ハーフ&ハーフ】」。これは全期間固定型と変動型を半分ずつミックスしたもので、3月30日までに申し込めば、変動型が0.575%、全期間固定型が1.18%(返済期間20年以下)、1.48%(同21年以上)となる。変動型は融資金額の半分のみとはいえ、限りなくゼロ金利に近い。
果たして、低金利競争はどこまで続くのか、目が離せなくなってきた。
なお、フラット35の融資条件が4月から変わることになったことに、注意していただきたい。従来、融資額の上限は、購入価格の100%まで可能だった。価格が3000万円なら3000万円まで借りられたのである。しかし、この上限が90%に引き下げられる。上記の例では借り入れ可能額は2700万円に下がる。残りは自己資金で賄わなければならない。
フラット35の融資限度は当初80%までだったが、段階的に引き上げられ、2009年6月に経済危機対策の下に100%になった。その後、自己資金がなくて返済能力に疑問符の付く人が、民間金融機関では融資の審査に通らないためにフラット35に流れていた面がある。そして返済に行き詰まりローン破綻に陥るケースが増加しているのだ。こうした状況に対する批判を受けて、今回の融資割合の引き下げが実施されたと見られる。
ただし、フラット35の保証型と、フラット35の借り換え型は従来通り100%融資が受けられる。だんだんとフラット35の制度内容が複雑化して、わかりにくくなっている。融資を検討する際には、細かい注意書きまで含めて融資条件を十分に確認することが必要になってくるだろう。
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